みなさんこんにちは

感染症の勢いはとどまるところを知らず、最初の緊急事態宣言が発令された去年と比べても、感染者数が増加しています。

目に見えないウイルスだからこそ、感染予防に努めていきましょう。

 

見て楽しむダイビングの世界でも、見えない怖い所があります。

それは「潜水病(減圧症:窒素中毒)」です。

オープンウォーター講習を受けた方は、最初に習う項目ですね。

水圧が高くなる大深度に行くに従い、私たちが地上で吸う空気とは異なり、空気の濃度が濃くなります。

通常では何の作用もない窒素が加圧(潜水では潜降)があると、呼吸している空気中の窒素分圧が上昇し、肺の毛細血管から窒素が取り込まれて、組織内の窒素濃度が上昇します。その後、減圧(潜水では浮上)すると、気圧が下がる為、体内組織に取り込まれた窒素ガスの体積が膨張して過飽和状態(これ以上取り込む事が出来ない状態)となります。その取り込まれた濃度が一定の域を超えると「減圧症」が発症します。

ダイビング医学:減圧症より参照

現在、レクリエーショナルダイブは40mまでと目安が決まっていますが、今後、器材の進歩により500~600mくらいまでは潜る事が出来るのでは、と言われています。

 

ここで察しが良い方は気づくと思いますが、深海探査艇はどうやって潜っているのか気になりませんか?

日本が誇る『しんかい6500』はどうなっているか調べてみましょう。

 

設計の詳細はJAMSTECの『しんかい6500』紹介ページを参照して頂ければと思います。

 

ここで注目して頂きたいのは、人が乗り込む『チタン合金製耐圧殻』です。

耐圧殻(たいあつこく)とは潜水艦や潜水艇の船体における、水圧に耐えるための外殻構造です。

船員が乗り込む空間を指し、内部は1気圧に保たれます。

深海調査船のような大深度まで潜航するものは、チタンなどの丈夫な合金でできた真球に近い耐圧殻が使用されます。

ちなみにしんかい6500の耐圧殻の真球度は1.004、外径は僅か±2mm以下の製作精度で製造しています。

圧力は全ての面に等しく均等にかかるので、真球に近い形状でなければ、気圧が水圧以下になると、ペシャンコになってしまうでしょう。

これを人間が纏うスーツに応用しようとしても、人間はどうしても関節が存在するため、その部分の素材が薄く作らざるを得ません。そうなると、圧力のかかり方が不均等になるため、身体に大きな負担がかかってしまいます。

 

では、真球の中に入って潜ればよいのでは?と考える方もいるかもしれません。

良く考えてみましょう。スクーバ潜水の時の浮力調整は『肺』と『BC』で行っています。

では真球内を1気圧とした場合、どうやって浮力調整をおこなえばよいでしょうか?

アルキメデスの原理により、気圧を保ったまま潜る事は出来ないため、浮いてきてしまうか、重さを足したとしても浮かび上がってくる事が出来ないため、浮力調整は出来ないと思います。

そのため、しんかい6500は浮力調整の為、潜るときにバラストタンクに水を入れて、時間をかけて潜ります(もちろんウエイトもつけており、浮上の時は取り外したりします)。

現在の技術では代わりの浮力調整装置が無い真球では潜る事は出来ず、浮力調整装置を装着する必要があります。

 

いかがでしたでしょうか?

少しマニアックな内容になりましたが、少しでも海のことに興味を持ってもらえたら幸いです。

閲覧ありがとうございました。